ポストプロの現場(テレビやPRの選曲効果やサウンドデザインを行うセクション)の方々にとって、編集上がりのメディアが未だにDVDに頼る現実があると思います。ノンリニア編集所からすればDVDレコーダーに垂れ流し録画すればレンダリングする手間もなく”実時間”で終わるため巷の編集所の大多数がこの方法を採用していると思います。受け取り側は、このDVDをムービーに起こして作業すればいいのですが、最近ここでDVDをムービーにリップできないという問題が見受けられます。原因はCPRMによるコピープロテクトです。
このCPRM、コンテンツ漏洩のための当然の処置でしょうが作業する立場から見ると厄介なモノです。結果的にフリーやシェアウェアのリッピングソフトに頼るしかありません。また面白いことに、DVDドライブの種類によってもCPRMプロテクトが回避できたりと色々なケースがあります。現在の選曲効果の作業はムービーデータを必要としているのは当たり前の事実、ここは編集スタジオ側で対処するべき問題なのですが、事実、AvidやFinalcutのレンダリングに時間を費やすことになるのも事実であります。時間に余裕のないテレビメディアのケースではレンダリングを待っている暇は無いでしょう。ここではDVDからムービーへのリップの方法、CPRMプロテクトでリップできない場合の対処方法を考えていきます。
まず市販されているリッピングソフトはCPRMは回避できません。(当たり前ですが)しかしながら様々なフォーマットに対応するなど、優秀なソフトが多いです。私の場合はDivxフォーマットで小さく収めたいのでXiliSoftの「究極DVDリッピング」を利用しています。有料ですがほとんどすべてのフォーマットに書きだすことが可能で信頼性高いソフトです。もちろんCPRM等のコピープロテクトが施されたDVDメディアには対応していません。ただし、ある特定のDVDドライブはこのCPRMをスルーできるようです。(現段階では仮説ですが)
現在、iMacからFireWireでUltralite(MOTU)に接続、カスケードでLaCieのDVDドライブにつないでいます。
システムインフォで見ると上記の通りなのですがこの状態でCPRMの入ったDVDメディアが市販リッピングソフトで書きだすことが出来るようです。最初はLaCieのDVDドライブが採用しているドライブパーツに依存する問題かと考えましたが、現存するドライブが単体でCPRMを検知しないと言うことは考えられないのでMOTUのUltraLiteのドライバーが関係しているのではないかと思い検証中です。いずれにしろ、このドライブ、もしくはこの組み合わせでCPRMを回避できる事は事実です。
このLaCieのドライブはLaCie d2 LightScribe 22x 8.5GB DVD-RW FW/USB PC/Macという製品で今では扱っているお店も少ないようです。
こういった稀なケース以外では、MpegStreamClipという万能変換アプリケーションを使う手もあります。このアプリケーションはフリーウェアで、とても優秀ですが、DVDからムービーに変化する際に若干のトラブル(画像が早送りになったりする)が頻繁に起こるようになり現在は使っていません。このアプリケーションもプロテクトをスルー出来るので手段の一つとしては用意しておくといいでしょう。サブマシンとしてWindowsPCがあるならDVD Decrypterやら他にも優秀なアプリケーションが多数あります。(もちろんサウンドデザインの作業用にリップするためであり市販DVDをリップすることは、それ自体違法行為ですのでご注意下さい。)
ポストプロにて編集上がりの受け渡しがVHSビデオからDVDに変わりはじめてもう10年近く経ちます。映像の編集上がりを手際よくデジタルネイティブな形で受け渡しできるように数年前から編集室のスタッフには提案していましたが、現実的には難しい部分もあるようです。しかしながらCPRMのディスクを頂いても困るのは選曲効果さん達なので、この問題は改善の余地がありそうです。