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「99年の愛〜Japanese Americans〜」と7人のアレンジャー


TBS開局60周年 5夜連続特別企画「99年の愛~JAPANESE AMERICANS~」オリジナル・サウンドトラック – 千住 明

去年の秋、音楽プロデュースと選曲を担当したドラマのサントラが発売されていたのでちょっとご紹介。このドラマは恐ろしいくらい苦労した、今となっては自分の経験値を押し上げてくれた作品である。

「TBS開局60周年 5夜連続特別企画」と題されたこのドラマ、2010年11月3日から5夜連続で2時間を放送する。つまり10時間分である、2時間と言っても話数によってバラつきがあり殆が2時間オーバーなので総放送時間は約11時間、要するに超大作。

撮影班は1年以上前からロケハンに始まり2ヶ月以上アメリカに滞在し撮影を続けた。
しかし音楽に関して言えば、11/3の放送を前にして10/15に至ってもレコーディングはおろか録音すべきラインナップも揃っていなかった。
つまり残り2週間で音楽録音、トラックダウン、選曲、MA、プレビュー、といったプロセスを経なければならない、しかも11時間分。仮に劇場版の映画だったらこの部分だけでも3ヶ月以上の期間を必要とする仕事量だ。そして困ったことに人間の集中できる時間というのは限りがあり連続でスタジオにいても作業効率は上がらないし、間違った方向に作品を導きかねない、そんな危険な現場であった。

どんなにギリギリのスケジュールでも「出なかった番組はないからさぁ」と楽観的に考える現場スタッフも、今回だけは不思議な緊張感でピリピリしていたのを思い出す。このままではヤバイ、皆、そう感じていた。

音楽制作に関しては最悪の進行状況だった。とりあえず、千住氏にメインテーマを含む7つの曲をなんとか書き上げてもらったが、アレンジバリエーションまでは手が回らないという状態。たった7曲で11時間分の選曲は至難の業である。結果的には日音の水田氏が7人のアレンジャーを用意してくれて、レコーディング前日には合計40トラックを録音出来る状態に持ち込めた。

この時、僕と水田氏は各アレンジャーとのデモのやり取りにdropBox等のクラウド環境、メッセージのやり取りはツイッターのDMを使用していた。水田氏がこの手の方法に明るかったことで色々と助かった。いちいちデモが上がる度にCDRで届けてもらっては埒があかないからである。こういった迅速なやり取りで、僕は自分が選曲しやすい方向に我儘を言い放題できたし、2日以上にわたるトラックダウンの経過も随時サーバー経由で確認し、現場に居ることでの体力の消耗から逃れることができた。ここで疲弊してモチベーションを低下させてしまうと、この後の、選曲、MAに影響するからだ。そして、クラウドやサーバーを使うことで言葉では伝わらないニュアンスも僕自身がLogicProを使って音源化しアレンジャーとサウンドファイルのやり取りをすることによって、仕上がりをコントロールできた。

メールを介したファイルサービスよりもdropBoxを使う利点は、Growl等の通知ツールを設定しておけばファイルのアップロードの際に迅速に対応できるし、そのファイルは既に自分のHDにシンクしているためダウンロードする手間が無い。ツイッターのDMも同様に細かいメッセージのやり取りがスレッドとして見ることが出来るので全体が把握しやすい。クラウドとソーシャルネットワークを充分に活用してなんとかやり遂げることが出来た。

上記サントラはそんな苦労の結晶である。アルバムの曲タイトルに関しては千住氏の依頼で僕が命名した曲が幾つかあったりする(^_^;)。サウンド的には若干ラフな部分は否めないが良いアルバムになっていると思うので、スケールの大きいオーケストラサウンドが好みの方にはオススメである。

 

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